経営方針・経営指標
大日精化グループの持続的成長と中長期的な企業価値の創出のため、2025年3月期を初年度とする本中期経営計画において、5つの基本戦略の実現に向けて取り組んでいきます。
基本戦略
①技術主導による競争優位性の確保、②事業基盤の強化のための海外事業の拡大、③サステナブル社会の実現に向けたESG重視の経営推進の3つの基本戦略を支える土台として経営の基本となる人事戦略、人財開発を推進するためのHR戦略とデータ蓄積基盤構築による業務効率向上を目指すDX推進を策定し、資本効率を重視した経営(ROA5%以上、ROE9%以上)を目指します。
本中期経営計画における各基本戦略と2年目(2026年3月期)の取り組み結果
2026年3月期における売上高増額は以下の図のとおりとなりました。
また、資本効率として、2027年3月期のROE目標を4.6%と掲げていましたが、2025年5月には、目標ROEを5%以上とすることを公表しており、引き続き本中期経営計画の各施策を進めていきます。
1)技術主導による競争優位性の確保
当社グループでは、保有する技術を、技術マネジメント手法を用いて再評価し、社会的なニーズ(ESG)への貢献を最優先課題として、オープンイノベーション、セグメント間のシナジー、知財戦略などを組み合わせ、3つのコア技術(1.有機無機合成・顔料処理技術、2.分散・加工技術、3.樹脂合成技術)を深化させた技術開発に取り組んでいます。
本中期経営計画においても、これらコア技術は重要な基盤として、市場規模・収益性・成長性を評価し、新規発展分野として①IT・エレクトロニクス 機能性材料、②ライフサイエンス・パーソナルケアの2つを、継続発展分野において環境配慮型製品へのより一層のシフトをテーマとする③モビリティ、④環境配慮型パッケージングを開発の中心に据え、人財と設備と資金とを積極的に投入することを行い、技術主導による競争優位の確保を目的とした体制の構築を進めています。
その体制構築の一環として、2025年4月1日より、技術機構の組織を、保有技術ごとの縦割り体制から開発ステージごとの組織体制に刷新し、お客様と対面で開発を進めている事業機構の技術部門を一部取り込んでいます。加えて、従来から取り組んできたオープンイノベーションなどにより技術開発・製品開発力を強化することで、技術主導により事業創出できる体制を構築してきています。
本中期経営計画では、技術主導による新規開発製品の売上高を2027年3月期までに2024年3月期比26億円増加させることを目標に掲げて取り組んでいます。2年目を終了した2026年3月末時点では、売上高は12億円の増加となりました。
新規開発製品が売上に寄与するまでには一定程度の時間が必要となりますが、採用内定案件も多数あり、引き続き目標達成に向け新規開発製品の早期売上寄与を目指します。
2)事業基盤の強化のための海外事業の拡大
当社グループの収益、成長の源泉は、国内・海外双方に存在し、GDP高伸長国での事業展開などバランスよく事業育成をしていく必要があるとの認識の基に事業を展開してきました。
本中期経営計画では、海外事業の売上高を2027年3月期までに2024年3月期比36億円増加させることを目標に掲げて取り組んでいます。2年目を終了した2026年3月末時点では、売上高は2億円の増加(為替影響除く)となりました。
これは、東南アジアや中国における日系車、北米では欧米車の販売不振や中国の景気低迷の影響を受け、低調に推移したことによるものであり、引き続き、「地産地消」の推進と海外拠点の拡充及び新規ビジネスの創出を軸に、積極的な業務の展開に注力していきます。
3)サステナブル社会の実現に向けたESG重視の経営推進
当社グループでは、サステナブルな社会の実現と中長期的な企業価値向上のため、ESG経営を本中期経営計画の戦略の一つに掲げています。サプライチェーンパートナーとのあらたな価値の共創を目指して原材料調達段階から製品の廃棄に至るライフサイクル全体において、さまざまな取り組みを推進しています。同時にこれら重要な経営課題におけるさまざまな外部環境、内部環境の変化に対して、リスクと機会に効率よく対処できるように統合型リスクマネジメント(ERM)を運用しています。
〈サステナビリティ貢献製品開発・拡販〉
当社グループでは、環境負荷低減に貢献できる環境配慮型製品に加え、人々の暮らしを豊かにする製品を含めたサステナビリティ貢献製品の拡販により、サステナブル社会の実現を推進しています。
本中期経営計画では、サステナビリティ貢献製品の売上高を2027年3月期までに2024年3月期比30億円増加させることを目標に掲げて取り組んでいます。2年目を終了した2026年3月末時点では、売上高は19億円増となりました。これは、自動車の内装向けウレタン樹脂表面処理剤や建材向けコーティング剤が低調に推移したものの、情報電子材関連が好調に推移したことによります。
〈コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み〉
単に法令遵守、ルール遵守にとどまるだけでは実質的なガバナンスの向上につながらないとの認識から、コンプライアンスの徹底のために経営層からのメッセージの発信・従業員からのフィードバックを継続的に実施しています。
2025年6月27日開催の第122期定時株主総会での株主の皆さまのご承認により、「監査等委員会設置会社」へ移行したことにより、委員の過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が、取締役の業務執行の適法性、妥当性の監査・監督を担っており、より透明性の高い経営を実現することで、国内外のステークホルダーの期待により的確に応えうる体制を運営しています。
加えて、2026年1月21日開催の当社取締役会において、取締役会は経営戦略の決定や監督に専念し、執行役員はその戦略実行に専念するという、それぞれの役割と成果責任の明確化を目的とした新執行役員制度の導入を決議しています。さらには、当社が特に重要と考える業務執行分野に関して、責任と権限の範囲を一層明確にし、業務執行を確実に推進することを目的としたチーフ・オフィサー制度の導入を決議しており、これらにより、より一層のコーポレート・ガバナンスの強化を図っていきます。これらの新執行役員制度やチーフ・オフィサー制度の導入と併せて、第123期の株主総会後の新体制において、新たに短期業績連動型報酬を導入しました。各取締役(監査等委員である取締役を除く。)が共通して責任を負う指標(連結営業利益およびROE)と、担当する職務ごとの責任に対するその他の指標を複数組み合わせることにより、各役員の貢献度を適切に評価し、報酬額へ反映することで、持続的な成長と成果創出へのコミットメントを一段と強固にする風土への変革を進めています。
その他、サステナブル社会の実現に向けた「気候変動への取り組み」「資源循環促進」などESG重視の経営推進に関する他の活動は、「サステナビリティに関する考え方」をご覧ください。
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4)HR戦略・DX推進
HR戦略
従業員の将来のありたい姿の実現に向けて「イノベーションが湧き上がる活力に満ちた組織風土」を醸成させていくことが不可欠であるとの認識を前提に、モノづくり企業の従業員としてのエンゲージメント向上を目指したHR戦略を推し進めています。
具体的には、当社内のエンゲージメント調査結果から、経営方針や戦略を組織の隅々まで行き渡らせることが必要と認識し、2025年3月期から、取締役が全国の拠点を訪れて従業員と直接対話する「座談会」を開始し、経営層と従業員がお互いの期待感の共有を行っています。
2026年3月期も4名の取締役が22回の座談会を実施しましたが、今後も継続していきます。
エンゲージメント向上に関する指標としては、2027年3月期のエンゲージメントスコアの目標設定として59%を掲げていましたが、2026年3月期の実績は59.4%となり、2年目で目標値を超えることができました。これは、本中期経営計画の諸施策が従業員に浸透したことにより、「会社が変わっていくことに対する期待」として捉えられた結果であると考えます。
諸施策として、2025年4月に導入した新人事制度(ジョブディスクリプション(JD)の策定による、明確性や公平性が確保され納得感の得られる評価制度の構築など)の導入や、2年間にわたる座談会の実施などが挙げられると考えています。
DX推進
業務のデジタル化による効率化、データ蓄積・共有の基盤構築を進め、データ駆動型ビジネスへの転換を目指し、効率的で確実性の高い戦略、独創性のある製品開発を重点的に推進します。
本中期経営計画の2年目を終了した2026年3月末時点の状況としては、従業員の7割が生成AIを日常的に活用しており、生成AI浸透の元年といえる成果を上げました。
今後の施策として、マーケティング分野では「部門横断的に市場ニーズをデータベースとして蓄積し、市場ニーズと当社技術を結び付け新規案件を開拓する」、技術開発分野では「使用する原材料や開発情報を横断的にデータベースとして蓄積し、これらを組み合わせ、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)により開発期間を短縮する」、生産活動分野では「製造工程をリアルタイムに見える化し、生産計画と生産実績を高度に連動させることで、生産活動の効率化を促進する」ことが挙げられます。また、必要なデータの蓄積を進め、経営における迅速かつ的確な意思決定を支える強力な基盤として活用していきます。
これらの施策を確実にするために、デジタルリテラシー向上やAI活用の研修、データ分析のOJTなども効率的に行うことにより、一層のデジタル人財の基盤強化を図ることとします。
5)資本効率を重視した経営
中長期的な企業価値の向上に向けて、前述した4つの基本戦略を基に既存事業の収益力強化、成長分野への投資により収益性の改善を進めるとともに、財務戦略として、株主還元の強化やM&Aなどの成長投資、資本効率化策などのBSマネジメントを進め、早期にROE9%、ROA5%の達成を目指していきます。また、非財務戦略として、機関投資家向け説明会、個人投資家向け説明会を継続して実施するとともに、IR・SR活動にも注力していきます。本中期経営計画の最終年度である2027年3月期の目標として、ROE5%以上(2025年5月に上方修正)、ROA4.3%を掲げていますが、初年度である2025年3月期は、ROE8.4%、ROA4.0%、2年目である2026年3月期は、ROE6.1%、ROA4.2%の結果となりました。
これは、2025年3月期においては、埼玉県川口市に所有していた当社旧川口製造事業所跡地の売却に伴う固定資産売却益77億6千1百万円を、2026年3月期においては、政策保有株式の売却により投資有価証券売却益28億1千2百万円を、それぞれ特別利益に計上したことが主要因です。
また、コロナ禍後の原材料高騰に対して当初は価格改定に苦戦していましたが、ここ数年で回収が進んだことが、業績面で好転している要因です。
中期設備投資計画(2025年3月期~2027年3月期)の2年目(2026年3月期)の総括、ならびに成長投資の進捗について
〈設備投資〉
2026年3月期は、戦略製品投資として、HPU(ヒドロキシポリウレタン)新製法パイロットプラント、タイ現地法人の能力増強、機能性ペースト新規生産設備導入などを実施し、老朽化対策等の通常投資と合わせて47億円の投資を行いました。
3か年計画については、「新技術棟の建設」は、研究開発体制の再構築および最新のDX技術を活用したR&D環境の刷新に伴い、計画を一旦延期(△50億円)としますが、概ね計画通り進行する見通しとなります。
〈成長投資〉
最終年度である2027年3月期までに、設備投資とは別枠で、M&Aや資本提携などを目的として、合計150億円規模の成長投資を見込んでいます。
M&A投資については、将来当社にとって大きな価値をもたらすと想定される分野を特定し、それぞれの分野で買収候補となりうる企業のリストアップを日々進めています。
2026年3月期は、絞り込んだリストの企業や外部から情報提供のあった企業へ個別にアプローチし、基本条件の交渉を実施しています。
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